昔「倭寇」、今「韓寇」
平井修一
対馬(長崎県)は島全体が岩がちであり、9割が山である。耕地が乏しく、農家数776戸のうち専業農家は131戸に過ぎず、657戸は1ヘクタール未満の耕地しかない。農業産出額は8億5000万円、1戸当たり110万円と微々たるものだ。
「対馬の農業につきましては、非常に厳しい状態といいますか、環境的に厳しいところでございます。その中で落ち込む一方みたいな形でなかなか数字は上向いてくれない状況でございます」(対馬農協)
このために対馬は大昔から慢性的に食糧、特に米が不足していた。こうした地理的条件のため、対馬は古代より九州本土と朝鮮半島を結ぶ海上交通に活路を見出してきた。なにしろ対馬は福岡から130キロ、釜山からは50キロだから中継基地としては立地が良い。貿易立国ならぬ“貿易立島”で生きるしかない。
海に囲まれているのだから水産業で食えないのかと思うが、以前は370~380億円あった水揚げが、現在では半分以下の170億円まで落ち込んでいる状況で、昔ならなおさらのこと漁業だけでは必要な食糧を買えないから、やはり“貿易立島”なのである。
<古来より周辺地域では海外との交易が盛んでしたが、元寇への報復など戦争や対外的な緊張により交易が難しくなり、政権の弱体化で統制ができなくなると、盛んに海賊行為を行うようになりました>(対馬観光物産協会)
「倭寇」である。倭=日本人、寇=侵略であり、この海賊集団は対馬・壱岐などの北九州や瀬戸内海の漁民・豪族により構成され、13世紀から16世紀にかけて東アジア一帯で猛威をふるった。
平時にあっては交易、戦時にあっては海賊というわけだ。当時は本土にあっても食糧生産が落ち込んで食いはぐれると、村ぐるみで隣村を襲って略奪することはあったから、他国なら遠慮会釈なく奪ったろう。そうしなければ餓死するしかない。
倭寇の画像を検索したら、着物を尻はしょりして下は褌だけのような日本人が長刀を振りかざしたり、槍を突き出したりしている絵があった。そんな軽装で襲撃するはずはなく、十分に武装していたろう。
<倭寇は数十隻から数百隻で重装備の武士も加わって多くの食糧を略奪し、構成員については規律があり戦慣れしていた>(ウィキ)という説もある。これは当然で、襲撃する側は用意周到、満を持して襲うものだ。
<倭寇の侵略行為は熾烈をきわめ、それに悩まされた李氏朝鮮は、倭寇の本拠地とされた対馬の武力鎮圧を試みたり(1419年応永の外寇)、食料が自給できないことが海賊行為の原因であると推察し、対馬の有力豪族や対馬島主である宗家に官位を与え、貿易を認める等の懐柔策を取ります。
1443年(嘉吉3年)には宗家と李氏朝鮮の間で嘉吉条約(貿易協定)が結ばれ、これより宗家は朝鮮との貿易権をほぼ独占することになり、また、室町幕府と明国の間で勘合貿易が行われるようになったため、倭寇の活動は次第に下火になっていきます>(同)
今日、釜山から対馬は大亜高速海運など3社が運航する高速船でわずか1時間10分。
<対馬は韓国にとって登山や釣り、買い物が楽しめる「最も近い海外旅行地」でもある。週末、商店街をそぞろ歩く家族連れや若者グループは韓国人が目立つ。
長崎県が平成21年に発表した推計では、韓国人観光客の島内消費額は21億6千万円。対馬市の23年度一般会計当初予算(288億円)の1割近くに相当する。韓国資本のホテルや店舗での消費も多いため、「人数のわりに島民に落とすお金は少ない」との指摘もある>(産経)
倭寇ならぬ「韓寇」の対馬襲来か。島民から略奪するのではなく多少なりとも金を置いて行ってくれるのだから、韓国人のマナーの悪さが目立つとは言うものの、対馬の観光産業にとってはありがたいだろう。
<大亜社便が震災後2カ月半余り運休すると、対馬のにぎわいは消えた。対馬旅館業組合長の熊本さんの旅館では、韓国の旅行代理店が3カ月先まで押さえていた予約が一斉にキャンセルされ、1500万円分の売上が吹き飛んだ。
「島の経済がピタッと止まった。運休が半年続いていたらダメ(倒産)だったかもしれない。運休によって自分たちは韓国人旅行者のおかげで生活できていると再認識した。(大亜社への県と市からの)補助金で観光客が戻るならいいことだ」という。
大亜社が竹島遊覧を実施していることは、あまり島民に知られていない。小宮対馬市議は「島では大きな問題にはならない。韓国人の代わりに日本人が観光に来てくれるわけでもない」と話す>(産経)
今も昔も朝鮮との交易が島の生命線ということか。
蛇足ながら現在の対馬でもっとも多い姓は「阿比留」(あびる)で、この姓のルーツは平安時代まで遡ることができるという。
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by kaikai
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