「死に紙」新聞の「おためごかし」
平井修一
犬っころと散歩していたら朝日新聞の販売店ASAがワゴン車で古紙を回収していた。車内を覗いてみたら、奥のほうに結束されたままの古紙がごっそり積んであった。ははん、これが「押し紙」ね。購読者への実売部数以上に販売店が仕入れを強要された、リサイクル直送の新聞紙「死に紙」である。
多くの国民は新聞社の発表する部数が実売部数でなく、販売店への「押し紙」を含めた水増し部数であることを知っている。ABC公査の数字が単なる水増し部数であり、水増しではあれ新聞社にとっては「販売部数」だから、これをもとに広告代金やチラシ折込料を設定しているのである。
テレビが「視聴率至上主義」なら、新聞は「販売部数至上主義」で、経営の根幹に関わるから、拡販戦争は依然として熾烈だ。きれいごとではない。
新聞は独禁法の適用を免れて定価販売が認められている。実際は「3か月分をただにしますから1年契約に判を押してください、おまけにビール券、洗剤をつけます」などと「押し紙」を利用した値引き販売が行われているのは周知の事実だ。
これを規制するためだろう、独禁法では事業者が「不公正な取引方法」で売買することを禁じ、「新聞特殊指定」として次の行為を禁止している(新聞労連による)。
1)新聞発行本社が地域又は相手方により多様な定価・価格設定を行う(学校教育教材用などは例外)
2)販売店が地域又は相手方により値引き行為を行う
3)新聞発行本社による販売店への押し紙行為
テーブルの上では建て前上の定価販売、その下では「新聞特殊指定」なんてどこ吹く風と「仁義なき戦い」が繰り広げられているのは、毎年のように「販売正常化」が叫ばれていることからも分かる。
新聞労連によれば「新聞契約トラブル110番」(2007年)への相談では、高齢者を狙った非常識な契約が目立ったという。例えば――
<3年間のうち1年間無料にするからと勧誘を受け、断ったがビール券を渡され名前だけ書くよう言われて、仕方なくサインした。その後2回ほど電話で解約を申し入れたが「契約したのだからやめられない」と言われた。(85歳女性)>
中には認知症につけこんで10年契約!、21年契約!という異常な契約もあったというから、「インテリが作ってヤクザが売る」というのは販売現場の一面を捉えているだろう。
業界には「公正競争規約」もあるが、「新聞特殊指定」と同様に守られているのかは疑問だ。それならいっそのこと再販制度廃止を含めて規制緩和、競争自由化を進めてはどうかという声もあるが、そうなると「一気に乱売合戦になるから嫌だ」と業界では労使ともども反対している。
乱売で体力が疲弊して「戸別配達制度が崩壊する」などと労使の危機意識は強い。
<多くの新聞が生き残りを懸けて値下げ競争に陥り、これまで通りの紙面を維持が困難となる。特殊指定廃止で最終的に「戸別配達」は崩壊することが予想されるが、その前に「乱売合戦」が起こる。
この乱売合戦で新聞が読者の信頼を失う。新聞が危機的状況と言われているのに、購読料をめぐる混乱が加われば新聞そのものがマスメディアから脱落するのは必至。
言論機関としての新聞が立ち行かなくなり、危機にさらされるのは「知る権利」「表現の自由」、さらに「民主主義」。最終的に困るのは国民である>(新聞労連)
地方紙、ブロック紙、全国紙合わせて100紙ほどが、裏ではともかく表では共存しているのだから、「これ以上の競争は勘弁してくれ」という。
2005年11月の「週刊ダイヤモンド」によれば新聞社の社員の年収は朝日1358万(42.3歳)、日経1282万(41.0歳)、西日本1038万(42.8歳)。読売の初任給は年収426万(04年)だそうだ。下を見ればキリがないが、まあ恵まれているほうだろう。
乱売で売上減や賃金カットになっては大変だから労使ともども「規制緩和、自由化大反対」だ。
「最終的に困るのは国民」などと言うが、よせやい、M&Aなどで100紙が半減したところで、そもそもが共同通信の口移し、「口パクパク」の容共左派の論調ばかりだから国民は痛痒を感じまい。琉球新報と沖縄タイムズの違いはない。バカとアホウ、赤と紅の差でしかない。一緒になれば記者も半減、さぞ効率が上がろうよ。
「規制緩和、自由化大反対」はただの保身だ。国民のためだなんて「おためごかし」はやめてくれ。


by unimaro
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